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グリーン水素の将来性と課題

目次

再エネ由来電力を用いた水電解によって製造されるグリーン水素は、製造過程および使用段階でのCO₂排出がごく低減され、脱炭素の観点で非常に高い評価を受けています。

ここでは、国内外で注目されているグリーン水素の定義やブルー水素、グレー水素との違い、活用事例、メリットと課題などをまとめています。

グリーン水素とは

太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電した電力を使って水を電気分解し、得られる水素です。この方法では化石燃料を燃やさないため、製造過程でも利用過程でも実質的にCO₂を排出しません。規模拡大に伴いコスト低減が進めば、エネルギー調達とカーボンニュートラルの両立を図る企業にとって重要な選択肢となります。

グリーン水素・ブルー水素・
グレー水素の違い

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水素の種類製造方法CO₂の排出量環境負荷
グリーン水素水+再エネ電力を使用非常に低い極めて小さい
ブルー水素化石燃料を使用2~4kg-CO₂/kg-H₂程度グレー水素より小さい
グレー水素化石燃料を使用10~14kg-CO₂/kg-H₂最も大きい

ブルー水素・グレー水素はともに製造過程でCO₂が発生しますが、ブルー水素は発生したCO₂を回収・貯留し、グレー水素は発生したCO₂を大気中に放出する点が大きな違いです。この違いにより、グリーン水素が最も環境負荷の少ない選択肢とされる一方で、ブルー水素は現実的な脱炭素ステップでもあります。

グリーン水素の主な用途

グリーン水素は、「電気を貯めて運ぶ分子」として発電・熱供給・燃料に転換可能で、再エネの変動を吸収しながら、多様な産業の脱炭素化を後押しします。主な用途は以下の通りです。

グリーン水素の活用事例

水素を用いた再エネ需給調整

福島県浪江町に建設された水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」の事例です。

18万m2の敷地内には、20MWの太陽光発電と、10MWの水素製造装置が設置されました。余剰再エネを吸収して、1時間あたり最大1,200Nm³の水素を製造・貯蔵・供給することに成功しました。

製造した水素は燃料電池トラックや発電所向けに出荷され、実証段階ながら再エネ比率の高い地域の電力ネットワークの需給調整手段として機能しています。

国際空港での水素利用

中部国際空港(セントレア)は2019年に商用水素ステーションを開設し、ターミナル間バスやフォークリフトを燃料電池化しました。再エネ電力由来の水素を貨物地区で年間9,000m³供給し、CO₂を年間約21トン削減する成果を実現。

空港というエネルギー密度の高い施設で水素を横断的に活用するモデルは、将来の水素航空燃料インフラ整備にも直結すると評価されています。

グリーン水素のメリット

CO₂排出を抑えて、再エネ活用を促進

メリットの1つがCO₂削減効果です。再エネ比率が高い地域であっても調整力不足が課題となりますが、水素化すれば電気を分子の形で長期貯蔵できるため、再エネ導入拡大を阻む出力変動の壁を下げられます。

エネルギー自立と
コスト安定化に貢献

グリーン水素は、水と再エネ電力があれば国内で製造可能です。そのため、輸入化石燃料への依存度を下げ、エネルギー価格の高騰や為替変動といった外部リスクの影響を抑える効果が期待できます。

エネルギーを自社で安定確保できる体制を構築することで、事業継続性の強化や中長期的なコストコントロールにもつながるでしょう。

グリーン水素のメリットを
活かすための装置選定

こうしたグリーン水素のメリットを活かすには、使用目的や運用環境に応じた適切な装置の選定が欠かせません。装置の方式や性能が用途に合っていないと、必要な水素量が確保できなかったり、エネルギー効率や運用コストに課題が残る可能性があります。

本サイトでは、用途別におすすめの水素製造装置を紹介していますので、導入に向けて参考にしてください。

グリーン水素の課題

グリーン水素の課題は大きく2つあり、その1つが製造コスト。グレー水素の数倍という価格差が依然大きい点です。コストダウンには電解装置の量産化と再エネ電力のさらなる低廉化が必須ですが、大規模プロジェクトに先行投資する企業のリスク負担が重く、民間単独では普及が進みにくい構造になっています。

もう1つの課題がインフラです。高圧ガス法に基づく規制対応や水素パイプライン網の未整備が流通コストの増加につながっています。これらの課題は政策支援や標準化によって初期需要を確保し、サプライチェーン全体で価値を分担する仕組みづくりが欠かせません。

水素サプライチェーンの構築

日本では2050年の脱炭素社会実現に向け、水素サプライチェーン構築が重要視されています。製造・貯蔵・輸送・利用を一体化した仕組みにより、化石燃料依存からの脱却と低炭素社会の実現が期待されています。

経産省は調達量やコスト削減の目標を掲げ、環境省は企業と連携した実証事業を展開。都市・物流・農村・離島など多様な地域モデルが検討され、持続可能なエネルギー供給体制の構築が進められています。

グリーン水素の製造方法とは

脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーと水電解を利用して作られる「グリーン水素」への注目が高まっています。製造過程でCO2を一切排出しないクリーンなエネルギーであり、化石燃料由来のグレー水素やブルー水素とは一線を画す存在です。

製造の中核となる水電解技術は主に3種類あり、用途に応じた選定が求められます。各手法の特徴やコスト、実用化に向けた技術動向を解説しているので、導入検討に役立てましょう。

Power to Gasとは

Power to Gas(P2G)は、再生可能エネルギーの余剰電力を水素などの気体に変換・貯蔵する技術です。水を電気分解して水素を製造する仕組みが中核で、発電量が変動する再エネの有効活用策として期待されています。

グリーン水素をめぐる国内の動向

日本国内の動きと補助金制度

水素基本戦略の改定について

政府は2023年6月に水素基本戦略を改定し、2030年までに年間300万トンの低炭素水素を供給する目標を掲げました。戦略ではサプライチェーン整備、CCS付きブルー水素の橋渡し活用、電解装置コストの半減など70以上の具体策を提示し、総額15兆円規模の投融資を動員するとしています。

グリーンイノベーション基金

水素基本戦略の目標を達成するため下支えしているのがNEDOの「グリーンイノベーション基金」です。2兆円を上限に最大10年間の研究開発・実証を一括支援し、大規模水素サプライチェーンや専焼水素発電の実証を進めています。企業は初期導入リスクを抑えつつ大型投資へ踏み出しやすくなっています。

再エネ導入後の
“次の一手”としての役割

再生可能エネルギーの導入が進むと、昼夜や天候による発電量の変動、余剰電力の発生、系統制約など新たな課題が顕在化します。こうした課題を次の成長機会に変える鍵がグリーン水素です。電解装置を併設して余剰電力を水素に変換すれば、電気を分子として長期間貯蔵でき、必要なときに燃料電池や水素専焼ボイラーへ送り返すことで調整力を確保できます。

水素は高温熱源として直接燃焼できるため、再エネ電力だけでは置換が難しい工業炉や地域熱供給の脱炭素化にも貢献します。自治体にとっては、再エネ由来の水素を地域内で循環させることで地産地消型のエネルギーシステムを構築でき、災害時のバックアップ燃料としても機能するのがメリットです。

先行して水素インフラを整備することで、CO₂排出量の削減にとどまらず、新たな産業を呼び込む連鎖効果が期待できるため、再エネ導入後の“次の一手”として有効な選択肢と言えるでしょう。

グリーン水素製造・供給する日本企業

再生可能エネルギーを活用した次世代燃料「グリーン水素」は、日本の脱炭素化における重要な鍵とされています。 東京電力、トヨタ、三井物産、INPEXの4社によるグリーン水素の製造・供給に関する取り組みを紹介し、それぞれの戦略や事業の方向性を詳しく解説します。

グリーン水素はなぜ高い?コスト事情とこれから

脱炭素の切り札であるグリーン水素は、再エネ電力や設備投資の高さが普及の課題です。高コストの要因を深掘りし、装置の量産化や技術革新、政府の支援による2030年の目標価格達成に向けたコスト低減の道筋と、将来的な普及の可能性を詳しく解説します。

グリーン水素をめぐるアメリカの動向

アメリカのグリーン水素市場は、税額控除を背景に商用化が加速する一方、追加性ルールの厳格化や支援策の継続性に対する不透明感といった厳しい現実に直面しています。政権交代による政策の不透明感やインフラ不足を背景に、ブルー水素への投資シフトも進んでいる状況や、日米企業の具体的事例を交え、事業継続に向けた課題と展望を解説します。

水素発生装置の導入に使える補助金

水素発生装置の導入は脱炭素化に有効ですが、高額な初期費用が課題です。本記事では、その費用負担を大幅に軽減できる国や自治体の補助金・助成金制度のメリットや特徴を解説します。また、原則後払いであることやスケジュール管理の重要性など、活用時の注意点もまとめていますので、事前にご確認ください。