カーボンニュートラルの切り札として世界的に注目されるグリーン水素。依然としてその製造コストの高さが普及の最大の壁となっており、コスト低減が急務となっています。なぜこれほど高いのか、その原因と今後のコスト低減の可能性を探ります。
グリーン水素は再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解してつくられる、CO₂排出ゼロの水素です。産業用燃料や発電など幅広い分野で活用が進めば、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献できます。一方で、大きなネックは製造コストの高さ。現在はグレー水素に比べて数倍のコストがかかり、商業利用の拡大を妨げています。
だからこそ「なぜ高いのか」「どうすれば下がるのか」を理解することが、グリーン水素を検討する企業にとって重要なポイントになります。
現状、グリーン水素は1kgあたり約4.5〜12ドルとされ、化石燃料からつくるグレー水素(約1〜3ドル/kg)より大幅に高い水準にあります。ブルー水素(CCS併用)と比べても依然割高で、国際競争力の面でも課題が残ります。再エネが豊富な地域では比較的安く製造できるものの、世界平均ではまだコスト差が大きいのが実情です。
そのため企業が導入を検討する際は、この価格差が事業収支にどう影響するかを慎重に見極める必要があります。
グリーン水素が高い一番の理由は、電気分解に使う再エネ電力の価格がまだ十分に安くないことです。水電解では大量の電力を必要とし、電力コストが全体の大部分を占めます。さらに、水電解装置そのものの設備投資も大きな負担になります。PEM電解では貴金属触媒を使うため装置価格が高く、スタック交換や維持管理にもコストがかかります。
設備の稼働率が低いと、投資回収が進まず1kgあたりの水素コストがさらに上がる点も課題です。
コスト低減に向けて期待されているのが技術革新です。水電解装置の量産化が進めば装置単価は大幅に下がり、発電所レベルの大型プラントが普及することでスケールメリットも得られます。さらに、高効率なSOEC(水素製造効率が高い高温電解)や、貴金属使用量を減らす触媒開発も加速しています。
装置の耐久性向上や自動化による保守費削減も含め、複数の技術が組み合わさることでコストは段階的に下がる見通しです。
グリーン水素の競争力を高めるには技術だけでなく政策支援も不可欠です。日本は2030年に水素コスト30円/Nm³、2050年に20円/Nm³以下という目標を掲げ、価格差補填や大型投資の後押しを進めています。海外では米国の税額控除(最大3ドル/kg引き下げ)、EUの水素銀行による補助など、導入を後押しする政策が相次いでいます。
これらの支援が続けば、2030年代にはグリーン水素がグレー水素に匹敵するコストまで下がる可能性も見えてきています。
水素を電気・
熱エネルギー供給に使いたい
小売電気・再エネ発電・
地域熱供給事業者向け
水素を燃料として
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自動車メーカー・
水素モビリティ事業者向け
水素を洗浄工程で
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