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グリーン水素の水素キャリアとは?

目次

グリーン水素は、再生可能エネルギーが豊富な地域などで製造される場合があり、消費地までいかに効率よく「運び、貯める」かが実用化に向けた重要な課題です。その手段として注目されているのが水素キャリアです。本記事では、代表的な3種類の水素キャリアに加え、水素由来のエネルギーキャリアとして注目されるe-メタンの特徴と課題を解説します。

水素キャリアとは

水素キャリアとは、水素を輸送・貯蔵しやすい形態に変換するための媒体や方法です。水素は常温・常圧では気体であり、そのままでは長距離輸送の効率が高くありません。そこで、水素を液化したり、別の物質に取り込んだりすることで、輸送・貯蔵しやすくする技術が開発されています。

グリーン水素の代表的な水素キャリア3種類

JOGMECでは、水素キャリアの候補として主に「液化水素」「MCH(メチルシクロヘキサン)」「アンモニア」の3種類を挙げています。それぞれ輸送・貯蔵方法や水素の取り出し方が異なるため、特徴と課題を比較することが重要です。

液化水素

水素を約−253℃まで冷却して液化することで、気体状態と比べて体積を約1/800にできます。水素分子そのものを液化するため、利用時に別の物質から水素を取り出す必要がない点が特徴です。

一方で、液化するために多くのエネルギーが必要となるほか、極低温の状態で輸送・貯蔵するための高度な技術や専用設備が求められます。製造・輸送・貯蔵にかかるコストの低減が課題です。

アンモニア(NH₃)

アンモニアは水素原子を含む化合物で、比較的穏やかな条件(約−33℃への冷却や、常温での軽度な加圧)で液体として輸送・貯蔵できるため、水素キャリアとして注目されています。既存の輸送・貯蔵設備を活用できる可能性があることも特徴です。

また、アンモニアは水素を取り出さずに燃料として直接利用することもでき、発電分野などでの活用が検討されています。一方で、毒性があるため取り扱いには高い安全性が求められます。また、水素キャリアとして利用する場合には、輸送先でアンモニアから水素を取り出すためのエネルギーや技術が必要です。

MCH(メチルシクロヘキサン)

MCHは、トルエンに水素を付加して製造する液体の水素キャリアです。MCHとトルエンはいずれも常温・常圧で液体として扱えるため、液化水素と比べて貯蔵・輸送を容易にでき、既存の石油輸送設備を利用できる可能性があります。

一方で、利用時にMCHから水素を取り出す脱水素工程で多くのエネルギーが必要となります。また、水素を取り出した後のトルエンを水素製造地へ戻す必要があるため、輸送を含めた全体のエネルギー効率を高めることが課題です。

水素由来のエネルギーキャリアとして注目されるe-メタン

e-メタンは、再生可能エネルギーなどに由来する水素とCO₂を原料として、メタネーションによって製造する合成メタンです。水素をメタンという既存のエネルギー媒体に変換することで、都市ガスなどの既存インフラを活用できる点が特徴です。

既存のLNG・都市ガスインフラや、都市ガス用の既存設備を活用できるため、新たな設備投資を抑えながらガスの脱炭素化を進められる可能性があります。

一方で、カーボンニュートラルを実現するためのバイオマス由来や大気中のCO₂の回収・調達コスト、メタネーション設備のコストに加え、水素製造コストが大きな割合を占めることが課題です。また、カーボンニュートラル性を適切に評価するため、CO₂排出量の算定や排出削減価値に関するルール・認証制度の整備も進められています。

まとめ

水素キャリアには、液化水素、アンモニア、MCHなどがあり、それぞれ輸送・貯蔵のしやすさやエネルギーロス、必要な設備が異なります。また、e-メタンは水素とCO₂から製造され、既存の都市ガスインフラを活用できる水素由来のエネルギーキャリアとして注目されています。

どの方式が適しているかは、水素の製造場所や輸送距離、利用方法、必要な設備などによって変わります。水素の製造工程だけでなく、輸送・貯蔵・利用まで含めたサプライチェーン全体で検討することが重要です。